謎のシャンプーの草分け

温暖化の地理的分布気候の数値シミュレーションは、前に述べたように、二酸化炭素の倍増したときの地球全体の温暖化が1.3〜2.2℃だと予測しています。 地球全体の温暖化がこの程度だとしても、場所や季節によって温暖化の程度は大きく異なります。
数値シミュレーションでは、世界各地の温暖化の程度についても計算しています。 その際、個々の場所での予測について多くの研究グループの結果が一致している場合には、その予測は信用できるのですが、実際の計算結果は著しい不一致を示しています。
二酸化炭素の倍増の結果では、北米大陸の5大湖付近の冬の温暖化について、約5℃を示す数値シミュレーションもあれば、9℃近くに達するという結果も見受けられます。 日本の夏の気温上昇を、約3℃だと予測するものもあれば、約5℃のものもあります。
これらの予測は、それぞれ、現在26.7℃の東京の8月の平年気温が、マニラの最も暑い5月の気温(29.4℃)に近づくのか、それとも、カルカッタの5月の猛暑(31.2℃)に近くなることを示しています。 このような状況ですから、現在では、地域的な温暖化の程度を、確信を持って予測することは、困難だといわざるを得ません。
数多くの予測の間で共通して見られる特徴は、「高緯度地方の冬の温暖化が著しいのに対して、低緯度地方で比較的小さい」ことです。 従って、温暖化がそれぞれの場所でどの程度であるかについて予測できないにしても、温暖化の南北方向の分布はかなり信用できると考えられます。
米国の海洋大気庁の真鍋らが求めた昇温の程度を、季節別.緯度別に示したのが、321です。 冬の北極付近では6℃以上の温度上昇が起こっていますが、それ以外の緯度と季節では4℃以下です。
同じような温暖化の季節別.緯度別分布を、他の研究グループも求めていますが、それらの結果もほぼ同様です。 従って、321の結果は、温暖化の程度については若干の誤差を含むかも知れませんが、分布の傾向は信頼できると考えられます。

海氷の役割温暖化の緯度.季節分布を見て、多くの人は、「冬の北極地方の温暖化が際立って大きいのは、なぜか?」と疑問を抱くでしょう。 極地方の海氷の動向に関係しています。
北極海の大部分は、冬の問、海氷に覆われていますが、温暖化が進むとともに海氷が少なくなります。 海氷の表面は、氷のない海面に比べて多くの日射を反射します。
そのため、海氷の覆う面積が狭くなると地球は一層多くの日射を吸収するので、温暖化を助長することになります。 さらに大きい影響は、海から大気へ運ばれる熱が増えることです。
氷に覆われていない冬の高緯度の海面水温が、気温に比べて10℃以上も暖かいこともまれではありません。 このように大きい温度差があるので、多量の熱が海から空気へ伝わり、空気は温められ、降水量の予測になります。
1方、海氷は海面と空気との間の絶縁体として作用しますから、海から空気への熱の伝導を妨げています。 温暖化にともなって海氷の面積が狭くなると、空気と直接的に接触する海面の面積が増えます。
その結果、海から空気へ一層多くの熱が運ばれることになりますので、空気の温度がさらに高くなります。 このような海氷の変化との相乗効果によって、北極付近では温暖化の程度が大きくなるのです。
南極周辺では、地球温暖化が進んでも海氷の覆う面積はあまり狭くならないので、北極のように目立った昇温は起こりません。 二酸化炭素の増加にともなう気温変化の予測を述べてきました。
では、降水量はどのように変化するのでしょうか。 アフリカのサハラ砂漠の南縁の2年以上にわたる大干ばつや、1988年の米国での干ばつで経験されているように、降水量が減ることは、穀物の減産に繋がるので人類の生存にとって、約2の研究グループによる大気.海洋混合層大循環モデルの数値シミュレーションでは、二酸化炭素が2倍になったときに、いずれも地球全体の降水量が増えるという結果を得ています。

増加の程度は若干ばらついていますが、4〜15%の範囲です。 この数値シミュレーションの結果は、「空気の含むことのできる水蒸気の量は、気温が高い程多い」という科学の法則から予期されることです。
多量の水蒸気があれば、凝結によってできる雲が増えて、雨も多くなるからです。 また、生活程度の向上にともなって水の利用量が増えています。
約2年前の国際水文学年計画やその後の調査によると、世界の1人当たりの年間の水利用量は1900年代では約250立方メートルでした。 1940年代には倍増し、1980年には800立方メートルを越えて、その後さらに増える傾向にあります。
二酸化炭素の増加による降水量の変化は、われわれの日常生活に関係する重要な問題です。 地球全体で平均した降水量の平年値について、1975年にドイツのミュンヘン大学のアルベルト.バウムガルトナーらが調査しています。
それによると年間約970ミリで、蒸発量も温暖化にともなって空気中の水蒸気が増えると、降水量も多くなります。 降水が増えてもただちに水不足が解消されるとは期待できません。
その理由は、蒸発量も同じように増えるからです。 温暖化にともなう降水量変化について、多くのグループが数値シミュレーションを発表しています。
その結果は、いずれも複雑な.ハターンを示しています。 日本についても、また、米国の穀倉地帯やアフリカのサハラ砂漠の降水についても、増えるものや減るものもあって、統1的特徴を抜き出すのが困難です。
このように結果がまちまちですから、数値シミュレーションでは、「特定の地域での降水量の変化について、確信のある予測はできない」といわざるを得ないのが現状です。 気温については、前に述べたように、数多くの数値シミュレーションの結果に共通した緯度分布の特徴が見られました。
他方、降水量の緯度分布については、気温の場合のように、明らかな特徴は見出すのが困難です。 強いて数値シミュレーションの結果から共通的な特徴を引き出しますと、次のようなことになります。

高緯度地方と低緯度地方の降水は増える傾向が見えます。 また、中緯度では、冬の降水は増えますが、夏には減少する傾向が見えます。
これらの特徴の信頼性は、気温と比べて非常に低いものです。 温暖化にともなう降水量変化の予測が気温に比べても困難であることは、実際の降水が時間的にも空間的にも激しく変化していることが原因です。
地球の温暖化にともなって地球全体の海面水位が高くなることは確かなことです。 今から知られています。
その時代の海面の水位は現在よりも数メートルも高かったのです。 貝塚などの調査から知られているように、当時のわが国では「縄文の海進」と呼ばれる現象が起こり、海は埼玉県の川越付近まで入り込んでいました。
同じように、21世紀に向けて温暖化が進むと、海面の水位が高くなると予測されています。 極氷が融解したり山岳氷河が後退したりするので、その水が海に流れ込んで海面水位を上昇させます。
また、温暖化によって海水の温度が高くなると、海水が熱膨張して海面は上昇します。 このように、二酸化炭素が増加すれば、海面が上昇することは確かなことです。
気温や降水量の予測は、前に述べたように、大循環モデルを用いた数値シミュレーションにより行なわれています。 他方、海面水位の予測に関しては、数値シミュレーションを実施できるほど研究が進んでいません。

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